-
守り人シリーズ / 上橋菜穂子 著2015.04.07 Tuesday
-
さほど本好きでない私でも、たまに「本を読みたい」という衝動にかられる。
久々にこの人だと思える作家に出会った。上橋菜穂子さん。
最新刊は「鹿の王」で、今日発表された本屋大賞2015にも選ばれた作品ですが、
私が一気読みしてしまったのは、著者の代表作の一つ、守り人シリーズ。
バルサが主人公の守り人タイトル、チャグムが主人公の旅人タイトル、両方合わせて守り人シリーズであり、チャグムの置かれた立場・魂の清廉さ故に、悩み苦しみ、覚悟をきめ成長していく姿から目が離せない。
現実には存在しない世界を描いたファンタジージャンルであるにも関わらず、登場する国々の文化や背景、人物描写の掘り下げ方が深い。
様々な登場人物の複数の立場・出自・視点から描かれているため、ある視点から見れば悪人であっても、なぜこの人はこういう思考に至ったのかが描かれている。
またこの世の理不尽も織り込まれていて、それがリアル。
シリーズを読み進めていくほどにその深みを増していきました。
「善人を必ず助けてくれる神様なんて私は出会ったことがないよ」というバルサの言葉であったり、チャグムが様々な苦難を乗り越えて国を救い、(こんな言葉で片付けられないような苦難の道のりですが。。)民がチャグムをひたすらに天子と崇めるシーンで、「これでは何も変わらない。私は天の神などではない。民にも天任せにして楽をしてほしくない」と思う。
なんか、、まったく他人事じゃないな(苦笑)
これ、いつの世にも言えることですが、特に今の時世に読めてよかったと思えた作品です。
あっという間に読破しましたが早くももう一度読み返したい。
こんなにハマったのはいつ以来だろう。。いや、なかったかもしれない。
あと、この私でも文章がよどみなく頭に入ってきて、情景がすぐに浮かんできます。
児童文学に一応ジャンルわけされていることもあって、万人に読みやすい文章というのを心がけているのだと思います。
次は獣の奏者シリーズも読みたいな。
図書館で予約とりにくくなりそうな気配。。(苦笑)
< 前のページ | 全 [1] ページ中 [1] ページを表示しています。 | 次のページ > |