暗闇の客席、ほの暗い舞台、チャボさんの声だけが響き渡る。
幸せの量と不幸せの量はどちらが多いんだろう、
・・・
過去の時間と未来の時間ではどちらが多いんだろう、この地球上では。
答えのない、クエスチョン
舞台に設置された街灯にうっすら灯りがともる。詩を手にしたチャボさんが現れ
街灯の薄明かりのなか朗読するのは"HOME"。
なんだか少しアンダーグラウンドな演劇を見ているような雰囲気だ。
チャボさんの詩は独特な味がある。
ただ、そこにつける曲が素晴らしいから、普通のライブではつい曲をメインに
聴いてしまうのだけど、この日は詩をクローズアップする演出だったし、
何よりチャボさん自身がそういう歌い方をしていたように思う。
何度も聴いた曲でもいつもと違う色合いだった。
"久遠""BLUE MOON""クエスチョン""ねぇ神様"
ねぇ神様は、今年のマンスリーCHABOで何度も歌われている曲。
盗まれてしまったギターをかえしてほしい、そんな意味にうけとって聴いていたのだけど、
この日は「昔僕らが抱えてた宝物たち、どこになくしてきたのか」という歌詞だったかな、
大人になって失ってしまったもの、どこにあるのかという問いかけを強く感じた。
(今頃気づいてすみません)
"太陽に唄って 戸山ハイツ"では、当時の写真が次々と映し出され、
おお〜っこれが戸山ハイツ!と見入ってしまった。
チャボさんの小さい頃や家族の貴重な写真まで。
もしかしたら、ご両親がシアターにいらしているのかな?なんて思ったくらい。
あとはひさしぶりにニジェールを思って歌ったあのうたを披露したり、
夫婦の合作である絵本の朗読をしたり、、(絵本の画像はスクリーンに投影)
"SONG FOR YOU"や"新しい夏"(だったかな?)なんかも歌ってくれた。
そして"ガルシアの風"。
ジェリーガルシアが明るくて自由で、素敵なオヤジだと思った、とか言っていた。
ひだまりの里、自由の服なんて表現も、本人にインスパイアされたものだったのかな。
[どうにもならぬことなど何もなかったのです]という幾度も聴いた歌詞でも、
この日は妙に内省的な気分で聞いていた。
"FEEL LIKE GONG HOME"
「持っていくもの 捨ててゆくこと」。引き続き色々考えさせられる歌詞。
歌い方も、照明を逃れてギターを弾いている姿も、この日一番心に響いた。
カッコイイという一言で片付けられない何か。
これでこの日のライブは終わりかな、と思ったほどだったけど、
ここはシアターであった。
"不動産屋""ハレルヨ"を詠い、しめくくりは冒頭の街灯脇で"風樹"の朗読。
たつのすけさんが弾くBGMが大きくなりチャボさんは舞台を去り、
BGMがフェードアウトしていくと同時に暗闇になる会場。
パッと会場が明るくなる。終了だ。
うーん、舞台演出だこれは、拍手。そしてカーテンコールでチャボさん登場。
実はやってみたかったらしいですよ、これを(笑)
知人の舞台を見にきたときに、いい会場だな、と思っていたのだそうですが、
縁あってここでやることができた、感謝しています、とのこと。
チャボさんが再び舞台を去った後、DREAM TO REMENBERが流れ、
アメリカでの映像が映し出される。クレジットロールには関係者・スタッフの名前。
この日の舞台は終了となった。
世田谷パブリックシアター。いつ来たんだっけな。
シアタートラムには昨年来たけど。。なんて思いながら芝居のパンフを探す。
すると「春琴」再演の文字が。
サイモンマクバーニーという演出家の名前で思い出した。
この人が演出した「エレファントバニッシュ」を見にきたのがここだった。
また、やるんだ。。主演は深津絵里。これは、、要チェックだわ。
そんなことも楽しみつつ、会場を後にした。